日帰り硝子体注射とは
硝子体注射とは、硝子体(眼球)に直接注射を打つ処置のことを言います。主に角膜輪部から3.5~4.0mmの位置(針が刺さっても問題がない白目の部分)に針を刺し、薬剤を少量注入します。注射の前には準備として、麻酔薬を点眼しておき、目の表面や周囲を消毒した後に行います。使用する針は極めて細いので注射をしてもすぐに塞がります。処置自体は数分程度で終わるので目に負担もなく日帰りで行うことが可能です。なお、麻酔が効いた状態での注射となりますので、ほとんど痛みを感じることはありません。しかしながら注射の効果は症例により個人差があり、1度の注射では持続期間が数か月程度ことから、一定の間隔で注射を打ち続ける必要があります。
なお硝子体注射は、主に加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症の患者様に使用される治療法です。加齢黄斑変性では滲出型タイプと診断された際に用いられます。
薬剤は保険適応されている抗VEGF薬を注入していきます。VEGFとは血管内皮増殖因子とも呼ばれ、血管の虚血状態や炎症などをきっかけに増加するたんぱく質の一種で、脆くて破れやすいとされる新生血管を増殖させる、成長を促すといった働きがあります。この新生血管が症状を悪化させるため、同血管の成長を止める、その血管自体を縮小させるという働きをする抗VEGF薬を使用します。
確率は非常に低いとされていますが、同注射によって起こりうるリスクのひとつに、注射部位から細菌が入ることで起こる感染症(細菌性眼内炎)があります。このようなことが起きないよう、施術時の徹底した消毒はもちろん、注射後のアフターケアもしっかりしていきますのでご安心ください。
抗VEGF硝子体注射について
抗VEGF薬には数種類あり、当院で主に「ルセンティス」「アイリーア」を取り扱っております。
硝子体注射の流れ
処置時間は5分程度で、注射そのものは数秒で終わります。点眼麻酔をするため、痛みはほとんどありません。
当日は、注射開始のおおよそ30分前に来院していただき、点眼などの準備をして待っていただきます。
基本的に着替えの必要はありません。注射は清潔を維持するため、手術室にて行います。手術ベットに座っていただき、眼の消毒後、開瞼器でまぶたを開き、手術顕微鏡を用いて注射をします。
注射が終わりましたら短時間休んでいただき、問題ないことを確認後、お会計をしてお帰りいただきます。来院してからおおよそ1時間程度での帰宅となります。
硝子体注射の効果
硝子体注射は治療後約1週間で効果が現れ、その後は効果を見ながら必要に応じて注射を追加していきます。
注射は1回で終わる場合もあれば、1カ月ごとに3回注射を行い、その後も複数回、治療を要する場合もあります。特に糖尿病網膜症黄斑浮腫や加齢黄斑変性症は再発しやすく、視機能低下にもつながりやすいことから、初回から3回硝子体注射を行い様子を見ていくことが一般的です。
硝子体注射をしても、病気が完全に治るわけではありません。しばらくの間は、抗VEGF薬の注射を受け続ける必要があり根気強く治療していくことが重要になります。
精神的にも経済的にも負担のかかる治療となりますので、硝子体注射をご希望の患者様には医師より丁寧な説明をさせていただいております。
硝子体注射後の流れ
注射当日
当日より、日常の生活が送れます。お風呂、通常の洗顔も可能です。
注射翌日(初回のみ)
診察を行います(合併症の有無を確認します)
※注射後3日間点眼をしていただきます。
注射1週間後
診察を行います(治療の効果判定を行います)
注射1ヶ月後
診察を行います(治療の効果判定を行います)
経過が良ければそのまま経過観察となります。必要があれば追加投与を行っていきます。