日帰り白内障手術とは
当院では、白内障のみられる患者様で見え方によって日常生活に支障をきたす際は、日帰りによる白内障手術をおすすめしています。
一方、患者様によっては、当院への通院が困難であったり、他の全身疾患があり治療が難しく手術のリスクが高い場合、安全な治療を最優先とすることを目的に入院での白内障手術をおすすめしています。
その際は専門の病院へご紹介しますのでご相談ください。
白内障とは
白内障の原因や症状、検査方法、治療については以下のページもご覧ください。
白内障の治療
現在、白内障の治療は手術が一般的です。
白内障手術は日本国内で一年間に140万件も行われている、とてもポピュラーな手術です。
手術で濁ったレンズ(水晶体)を取りのぞき、眼内レンズを挿入することで、視力を取り戻すことが可能となります。
白内障の手術について
当院では、経験豊富な院長がすべての白内障手術を行っております。濁った水晶体を取り除き、その後、人工の水晶体(眼内レンズ)を挿入します。当院では一般的に広く白内障手術で取り入れられている日帰りによる水晶体再建術(水晶体乳化吸引術+眼内レンズ挿入術)を行っています。
水晶体乳化吸引術は、まず同手術を行うにあたって点眼麻酔をしていきます(麻酔が切れることがないように手術中も追加していきますので、痛みが出ることはありません)。その後、角膜を2.4mm程度切開し、その隙間から超音波乳化吸引装置を挿入して、超音波(チップ)の振動によって濁っている水晶体を粉砕していきます。その際に水晶体嚢の前面(前嚢)の一部と後方の部分(後嚢)は残します。なお粉砕された水晶体は、超音波乳化吸引装置によって吸引されます。そして濁った水晶体の代わりとなる眼内レンズを挿入して手術は終了となります。なお切開部分に関しては、その切開口は極めて小さいため、自然と塞がるので通常縫合処置をする必要はありません。
日帰り白内障手術の流れ
手術時間は10分から15分(大体10分前後)です。手術開始時間のおおよそ1時間前に来院していただき、点眼などの準備をして待っていただきます。基本的に着替えの必要はありません。手術が終わりましたら短時間休んでいただき、問題ないことを確認後、お会計をしてお帰りいただきます。
来院してからお帰りいただくまで、おおよそ2時間から2時間30分ほどになります。
手術は、毎週火曜日の午後、金曜日(不定期)の午後に行っております。
白内障の手術前オリエンテーションと検査
当院では、白内障手術の約1ヶ月前に
- 看護師による手術前説明(日程、手術概要、費用などの説明)
- 視能訓練士による綿密な検査(眼内レンズの度数、それに関わる詳細な検査)
- 院長による診察(眼内レンズの種類、度数の相談と決定)を行っています。
そして手術の約1週間前に
- 看護師によるオリエンテーション(手術日とその前後の詳細な説明)
- 院長による診察(最終チェック)
を行っています。
手術となると患者様はみなさん不安になります。
その不安を少しでも取り除けるようように、当院では一貫して院長自身が術前診察、白内障手術、術後診察を行っています。
日帰り白内障手術の機器紹介
当院では、出来る限り正確で安心・安全な手術を行うことを第一に考えています。 また、手術機器の進歩に併せ、常に最新の手術・検査機器の導入を心掛けています。その機器の性能を如何なく発揮でき、使いこなせるように医師、検査スタッフともに日々研鑽を重ねています。
超音波水晶体乳化吸引装置
「CENTURION(センチュリオン・ビジョンシステム)」
現行で最も高性能な白内障手術システムです。 手術中に変動する眼内圧をセンサーで感知し、自動的に吸引と還流を制御できるのは、世界初の技術です。
白内障手術中にリアルタイムで眼圧の変動を検知し、灌流液の注入量を自動調整することで、手術中の眼圧を一定に維持し、安心と安全な白内障手術を実現しました。
白内障手術ガイドシステム
「Vrion (ベリオン)image guide system」
白内障手術の際に乱視矯正に用いる最新機器です。 このシステムにより、眼内レンズ挿入時、リアルタイムで乱視軸を可視化でき、より精度の高い乱視矯正が可能となりました。
直接乱視軸をモニタリングできることで手術中の軸ズレを補正することができ、また切開位置や眼内レンズ位置のサポートもしてくれます。これにより術後乱視軸のズレを軽減し、クオリティの高い術後視力を提供できるようになりました。
当院でVerion(ベリオン) image guide systemを導入してからは、白内障手術において多くの患者様からご満足をいただけております。
光干渉式眼軸長測定装置
「ARGOS(アルゴス)」
2020年に発売された最新式の白内障手術検査装置です。
白内障手術において眼内に挿入する眼内レンズの度数決定に最も大きな影響を与える眼軸長(眼球の長さ)測定の精度がこれまでの機器より飛躍的に向上しています。眼軸長の測定誤差はそのまま術後「度数ズレ」の原因となり、ARGOS(アルゴス)ならそうした「度数ズレ」のリスクを限りなく抑えることが可能となります。
またこの機器で測定したデータはそのまま「Verion(ベリオン) image guide sysytem」と連動しており、白内障手術の計画サポートおよび手術サポートにも大きく寄与してくれます。
2022年導入時、神奈川県内でもまだ数台しか導入されていない機器となります。
手術顕微鏡
「OPMI Lumera T(ルメラ ティー)」
手術顕微鏡において、最も必要とされることは手術の詳細が「はっきり」と見えることです。当院では白内障手術のみならず硝子体手術まで対応可能な手術顕微鏡 ドイツ製の「OPMI Lumera T(ルメラ ティー)」を採用し、術野の視認性を高め、出来る限り安全で質の高い手術を施行するように努めています。
眼内レンズについて
白内障手術では、濁った水晶体を取り除いた後、代わりに眼内レンズを挿入します。また、現在では医学の進歩により半永久的に品質が劣化しないため、後々レンズを交換することは基本的に必要ありません。
眼内レンズの種類は単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2種類に分けられます。当院では患者様の幅広いニーズにお応えするため、現在国内で承認されている単焦点眼内レンズおよび多焦点眼内レンズを取り扱っています。
当院では、手術前検査において挿入するレンズのタイプ・度数を、患者様の希望やお仕事・日常生活を十分に考慮し、患者様と一緒に相談のうえ最良の度数を決定しています。
単焦点眼内レンズ
1つの距離をできるだけ鮮明に見たい方へお勧め
単焦点眼内レンズを使用する場合は遠方、中間、近方のいずれかに合わせることとなります。見たい距離にピントを合わせるため、見たい距離のものは多焦点レンズよりはっきり見ることができます。合わせていない距離には、眼鏡をかける必要があります。
単焦点眼内レンズは、健康保険適用となりますので経済的負担は少なくて済みます。
多焦点眼内レンズ
遠くも近くもメガネなしで日常生活を送りたい、メガネをかける回数を減らしたい方へお勧め
多焦点眼内レンズは、一つのレンズに遠近両方のレンズが組み込まれ、複数の距離にピントを合わせます。単焦点レンズと比較して、眼鏡をかけることが少なくなります。
見える範囲は広くなりますが、単焦点レンズと比べるとピントがあまく、まぶしさ出やすいです。また見え方に慣れるまで違和感が生じることがあります。
多焦点レンズは眼内レンズのみ自費となる選定療養となります。
多焦点眼内レンズの注意点
1.コントラスト感度の低下
このように白く膜がかかったように見えたり、鮮明さが劣ったりする場合があります。
2.夜間のハロー・グレア現象
このように夜間など暗い環境で光のにじみを感じることがあります。
ハロー…光のまわりに輪ができたように見える。
グレア…光が飛び散りまぶしく見える
白内障手術の費用
(すべて税込み)
単焦点眼内レンズ
(保険診療)
保険負担 | 手術費用(片眼) |
---|---|
1割 | 約18,000円 |
2割 | 約18,000円 |
3割 | 約50,000円 |
多焦点眼内レンズ
(保険診療+選定療養)
連続焦点型、3焦点レンズ
保険負担 | 手術費用(片眼) |
---|---|
1割 | 約348,000円 レンズ代:330,000円 保険負担:18,000円 |
2割 | 約348,000円 レンズ代:330,000円 保険負担:18,000円 |
3割 | 約380,000円 レンズ代:330,000円 保険負担:50,000円 |
連続焦点型、3焦点レンズ
トーリックレンズ
保険負担 | 手術費用(片眼) |
---|---|
1割 | 約403,000円 レンズ代:385,000円 保険負担:18,000円 |
2割 | 約403,000円 レンズ代:385,000円 保険負担:18,000円 |
3割 | 約435,000円 レンズ代:385,000円 保険負担:50,000円 |
取り扱い多焦点眼内レンズ
J&J社「Synergy(シナジー)」
※選定療養適用
シナジーは、ジョンソンアンドジョンソンビジョン社製の2021年に認可を受けた最新多焦点眼内レンズで、EDOFレンズ(焦点深度拡張型レンズ:遠方から中間距離まで連続した焦点を結ぶレンズ)と2焦点の回折型レンズの構造を組み合わせたハイブリット型眼内レンズです。近方33cmから中間距離、遠方まで連続してより自然な見え方が可能な眼内レンズです。
近方と遠方に加えて中間距離にも焦点が合うため、パソコンの画面や、料理の手元、カーナビなどがさらに見やすくなりました。
Alcon社「CLAREON PanOptix」
※選定療養適用
パンオプティクスは、2019年4月に日本で初めて承認された3焦点眼内レンズです。3焦点眼内レンズは、これまでの遠方と近方だけではなく、中間距離にもピントが合うのが大きな特徴です。
一般的なパソコン操作に快適な60㎝という中距離に着目し、加入度数を強化しました。パソコンやスマホを多用するオフィスワークや、テレビの視聴や運転、料理、スポーツなど、幅広い現代の生活に定着することができます。
白内障手術の
術後について
手術後の通院は、最初の1ヶ月が最も大切です。
手術後は細菌感染が起きていないか、目の中にいれたレンズのずれなどのトラブルが起こってないかを確認するため、すこし頻繁に来てもらうようになります。
術後は見え方が安定するまでは、予約日でなくても気になることがあればすぐにご連絡ください。
術後の流れ
手術日当日
手術翌日診察
(眼底検査の実施)
注意点…首から下の入浴や事務作業は可能です。
術後3日目診察
(視力検査の実施)
注意点…美容室での洗髪や軽い運動は可能です。
術後1週間目検診
(視力検査と眼底検査の実施)
注意点…洗顔およびご自身での洗髪、温泉、ゴルフは可能です。
術後2週間目検診
(視力検査と眼底検査の実施)
術後1ヶ月目検診
(視力検査と眼底検査の実施)
注意点…水泳やプール、海水浴は可能です。 ※メガネご希望の患者様はメガネ作製が可能になります
術後2ヶ月目検診
(視力検査と眼底検査の実施)
術後3ヶ月目検診
(視力検査と眼底検査の実施)
術後6ヶ月目検診
(視力検査の実施)
白内障手術後のメガネのご案内
白内障手術後約2週間は、保護メガネにて細菌やほこりから眼を守ることが大切となります。手術後、約1ヶ月すると眼の状態が安定し、メガネ作製が可能となります(個人差はあります)。
手術を行うと水晶体が取り除かれ眼内レンズに置き換わるため、眼の度数が変わり、手術前に使用してたメガネは、多くの場合ピントが合わず使いづらくなってしまいます。
当院では白内障手術後、メガネが必要な患者様の不便を解消するために、現在お使いのメガネフレームをそのまま活用してのレンズ交換も推奨しております。
当院にてレンズ交換し、術後の見え方に合わせてお渡しも可能です。
メガネご希望の患者様には、当院専任スタッフ(眼鏡作製技能士1級の有資格者)が、毎週水曜日、金曜日にレンズ交換についての相談及び販売のご案内させていただいております。
お困りの際はお気軽にご相談ください。
院長 三上武則